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- 中央大学 山田昌弘教授 講演より
- (於:結婚相手紹介サービス業認証制度認証書授与式)
皆さんご存知の通り、「少子化対策」というと、これまでもあれこれと政府が対策を取ってきたわけです。
しかし、「少子化」の原因をよく分析してみると、結婚している人が少なくなっているのが原因なのです。それにも関わらず、今までの「少子化対策」というのは、結婚した人が子供を生みやすくするための対策にほとんど限られています。例えば、保育所を増やすとか、育児休業を認めるというのは、既に結婚していることが前提なのです。しかも、フルタイムで正社員として働いている女性が対象に限られているのです。
また、私はこういう仕事をしているので、少子化対策の政府の委員会にも出ているのですが、こういう会議で結婚の話題になると、結婚の良さとかすばらしさを伝える全国運動をして、若者が結婚したいという気持ちを高めていこうという話になる。
しかし、若い人たちは結婚をしたくないわけではないのです。それなのに、政府の取り組みとなると「結婚したくなるように国民運動をしよう」ということになる。
結婚の良さを伝えるといってもね。。。両親の結婚生活を見て結婚に失望している人もいるかもしれませんし(苦笑)
やっぱり信頼できる相手は生きていくうえで必要でしょうし、そういう相手を見つける方法はやはり「結婚」で見つけるのがよいと思うのです。
しかし、「結婚」を巡る状況が変わっていまして、20年前と今とで、結婚状況が変わっているにも関わらず、その点が理解されていない。親世代にも理解されていないし、若い世代にも理解されていないのです。
そこで、白河さんと一緒に「婚活」ということを考えまして、二人で「婚活時代」という本を書いたのです。就職活動が「就活」なら、結婚活動は「婚活」だね、と。おかげさまでベストセラーとなりました。
実は、私のところに取材に来る記者の方も独身の方が多くて、「『婚活』という言葉を流行らせてくれたお陰で色々しやすくなりました」とおっしゃるんです。
結婚相手を探そうとして努力することは、何となく「気恥ずかしいこと」という気持ちがあるらしく、「婚活」という言葉を流行らせることで、それがしやすくなったのであれば、何か少子化対策につながったのではないか、と自負しています。
さて、今の結婚のプロセスは、昔の結婚のプロセスとは違うのです1980年代に変わりました。ちょうど、今の親と子供の世代が、ギャップが一番大きな世代だと思います。
例えば、現在の60歳前後の4分の1の人は、恋愛や付き合った経験をしたことがないということがわかっています。付き合った経験が1人という人を加えるとやっと6割ぐらいになる。
ところが、今の世代の人たちは、結婚するまでに付き合った経験が1〜2人という人が多い。
しかも、昔はお付き合いといっても性的関係があることは稀でしたが、今のお付き合いは性的関係があるほうが普通です。実は、高校生と大学生では、女性の性体験率が、男性を上回っているというデータもあるぐらいです。
一方、男性の方はというと、最近5年の間で、男子大学生の性体験率が落ちています。しかし、3人以上の女性と経験があるという男性は増えている。男性の「二極化」という状況が出てきているのです。
付き合ったら別れてはならないということはないでしょうけど、性的関係を持ったら別れてはならないというのは、私の世代でもある感覚ですが、今はまったくそういうことではなくなっている。
さて、このように結婚を取り巻く情勢が変わってきている中で、「婚活」という言葉に私が込めた思いの1つは「待っていても来ない」ということです。
例えば、昔は職場が事実上お見合いの場を兼ねていたり、25歳を過ぎると親戚や上司が縁談をもってくるので、積極的でなくてもいつの間にか結婚をしている、という状態が作られたようです。
それが、今では、積極的に活動している人に取られてしまうのです。それなのに自然信仰のように、「待っていれば来る」と思っている。
私の研究者仲間の調査によると、自分の一番好きな人と付き合える確率は10分の1なのだそうです。ということは、お互いがそれぞれ自分の一番好きな人と付き合える確率は「10分の1」×「10分の1」で「100分の1」しかないのです。
そんなに確率が低いことなのに、心のどこかでお互いに一番好き同士で付き合えるかも知れないという、期待を持って待っている人が多いのです。
あと、プライドが高くて声をかけられないということもあるようですね。声をかけられたほうが優位だと思っている。待っているほうが後々の付き合いで有利だ、という思う人もいるようです(笑)
それから、あまりデータ等では表には出てこないのですが、今までどおりの結婚パターンは無理なんだ、ということを理解して欲しいのです。
「今までどおり」というのは、男性が主に生活を支えるという生活パターンのことなのですが、これがもう無理なのです。
男性の未婚者の3分の1は非正規雇用です。また別の本でも書きましたが、青森で調査したところ、女性が結婚相手に希望する年収の平均は400万円以上でした。一方で、未婚男性で年収400万円以上の人は数パーセントしかいないのです。独身男性の約半数は年収200万円以下という世界なのです。
こういう例を見ても、「夫に養ってもらって生活しよう」というのは一部の人の特権みたいなものになってしまっているのです。
ところが、最近、専業主婦志向が高まっていまして、私の生徒にも主婦になりたいという女性が何人かいます。
夫だけの収入で家を建てて、子供を大学まで出せる男性は10%しかいない、というようなことを授業でも話をしているのですが、「私は山田先生の授業で全部Aをもらった。だから、私はその10%の男性を見つける自信がある。」と言って、実際にそういう男性を見つけてくるのです。しかも次から次へと(!)
いよいよ卒業が近くなって、彼女は、また私のところに来て、「やっぱり、結婚しようかどうか迷っている。彼は資産家で私のためにマンションも買ってくれていて、結婚を誘われている。」というので、「いいじゃない、早く結婚したら」と言ったら、「でも顔だけが気に入らない」というようなことを言うわけです(苦笑)。
まぁ、そういう子もいるので、専業主婦志向の女性が希望するような男性は、「市場」には出ずに早めに捕まってしまっているというのが現状のようです。
また別の卒業生の例ですが、この子は彼氏がいます。しかし、彼女が公務員になって就職するといったら、収入の高い女性は引く手あまただからという理由で、彼の方が結婚する自信が無くなった、と言い出したらしいのです。
今の若い男性は、収入が高い女性を求めていることも調査でわかっています。なぜか。フルタイム女性と結婚した男性は、専業主婦と結婚した男性と比べて、お小遣いが倍ぐらいあるのです。
特に医者なんてそうです。実際、医者の3分の1は医者と結婚しています。国立大学医学部の入学者は女性の方が多いのです。となると、医者同士の結婚は増えるし、医者だって一人だと収入が頼りないので、医者同士で結婚するという流れになっているのです。医者以外の結婚する男性の医者は20年ぐらい前と比べれば、5分の1ぐらいになっていると思います。
このようご時勢ですから、男性の収入が不安定になってきていて、正社員だって収入が上がらない人が増えているのに、仲人さんたちの経験でも、男性も女性も「なんでこんなに高望みするのだろうか」という経験をされていると思います。
私は、JLCAができたときに「教育的機能を果たして欲しい。」、「男は仕事、女は家庭という生活が変わってきていることを悟らせて欲しい。」ということをお願いしました。
就職と同じですね、高い期待をもって就職するのだけど、実際に働いてみて期待外れの仕事をすることになり、結果的にフリーターになってしまうという若者が多いです。
仲人さんたちには、ぜひ、高望みをし過ぎると大変だ、ということをうまく伝えていただいて、依存するのではなく、お互い支えあうような生活をすれば、自分も稼げば幸せになれるわよ、と誘導して欲しいのです。
男は仕事、女は家事という結婚の形にこだわらないということが、成婚率を上げる1つの決め手になると私は思っています。
ぜひ、そういう姿勢で若い人たちへのサポートをお願いできればと思います。
以 上
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